顔のない花

どんな花にも表情がある。

嬉しいとか、悲しいとか、楽しいとか、苦しいとか

そんな表現じゃなくて、生きていることそのもの。

感情を忘れていくと、顔がなくなっていく。

街の雑踏の中に立ち尽くし、どんどん、透明になっていく。

一本の紐で形作られる線画のように。

色のついた笑顔が、すぐ側を通り抜ける。

色が音を呼び、つながり合う。

色も音も持たない世界。

全て、無くしてしまったら…

ギャンバスだけを残して、どんな表情も描かれない花。

それでもただそこに咲いていく。