幼馴染み

高校の同窓会の会報で、あなたの訃報を知った。

卒業後は交流も途絶え、近況も全く知らないほど、疎遠になっていたけど、私の心には衝撃が走った。

あなたは、4歳の時に県外から引っ越してきた私の、初めての友達だった。

近所に同じ年の子供がいなかったこともあって、毎日のように一緒に遊んだ。

喧嘩もしたし、冒険といって遠出をして、怒られたこともあった。

1日たりとも、あなたと一緒にいない日はなかった。

小学校の高学年になるころには、クラスも別れ、お互い別の友達も増え、いつも一緒ということはなくなったけど、大切な友達であることには変わりなかった。

毎朝、一緒に学校に通う道は、お互いの変化を語り合う場になっていた。

私が中学生の時に転校してからは、会うことも減ったけど、高校でまた再会。

だけど、お互いに考え方も変わっていて、私とあなたの中を、決定的に引き裂いた出来事があった。

あなたと私の親友が、同じ人を好きになったこと。

私たちは、ギスギスしたような感じになり、あいさつを交わすことすらなくなっていた。

子供のころ語り合った、将来の夢も、もう語り合うことはなくなっていた。

そして、卒業してからは、違う道に進んで、全く交流がなくなっていたし、日々の生活で、あなたを思い出すこともなくなっていた。

そして、40年近くの月日がたち、あなたの訃報を知った。

一気に子供のころのことが、思い出された。

4歳だった私は、両親の離婚をきっかけに、県外のこの土地にやってきた。

新しい環境になじめず、心を閉ざした状態だった。

そんな時にあなたは、明るく声をかけてくれ、毎日一緒に遊ぶようになった。

小さな少女だった私たちは、おままごとの中で、いろんな世界を体験し、明るい未来を描いていた。

何の縛りもなく、自分を信じる力さえあった。

あなたは長年の友達にはなりえなかったけど、私の礎のひとつになっていることを、改めて感じた。

きっと、あなたはあなたの人生を全うしたのだろう。

その中で、私との幼い頃のことを、思い出すことはあったのだろうか?

幼いころの想いは、大人になってからも心の奥深くに根付いている。

あなたと出会えたことは、私にとっては大きな財産だったのだ。

もう、語り合うことはできない。

だけど、私は忘れかけていた夢に、もう一度チャレンジして私の人生を全うし、いつかあなたと笑いあいたい。

「久しぶり!」って、笑顔を浮かべながら。