自由になりたい!

こんな生活もう嫌だ。

自由が欲しい!!

私が自由じゃないのって、誰のせいなの?

そうか、会社のせいだ。

いつもいつも、残業が続いて、シフトもキツキツ。

やっと休みが来たと思っても、疲れてて何もする気にならない。

そんなことを、グダグダ考えながら、ぼーっとしていると、目の前に鳥が現れて、話しかけてきた。

鳥がしゃべる??

やばい、私相当疲れてる。

少し眠ろうと思ったときに、さらにはっきりとした言葉で、話しかけてきた。

「そんなに自由を奪われてるなら、会社を燃やしちゃえばいいじゃん。」

何言ってるんだこの鳥。

会社がなくなったら、生活していけないじゃん。

「じゃ、会社は必要なんだよね。生活があるから、自分が選んでそこにいるんだよね。」

何だこの鳥、生意気なこと言って。

会社がなくなったら困るけど、こんな会社で働きたいわけじゃない。

もっと、自分らしく楽しく働きたいのに・・・

「じゃ、会社辞めて、自分で楽しいこと仕事にしたらいいじゃん。」

いちいち、カンにさわる鳥だ。

そんなことができたら、こんな苦労してないし。

そもそも、好きなことを仕事にするなんて、できるわけないじゃん。

そんなの、一部の特別な人ができること。

そんな思いがグルグルしていたら、鳥がたたみかけた。

「自分で、ダメだって思いこんで、何もチャレンジしてないだけじゃん。」

そういえば、さっきから喋ってるわけじゃないのに、この鳥は私が考えてることがわかってるかのように、返事をしてくる。

一体何なんだ!

私は自由になりたいだけ!

「じゃ、会社の問題を解決した世界へ連れていくよ。これで満足でしょ?」

鳥は少しあきれたように、話しかけてきた。

嫌味な上司、マウントばかり取ってくる同僚、安い給料と突然の残業。

そんなものがなくなったら、絶対自由になれるはずだ。

私は、半信半疑ながらも、その鳥の後をついていった。

そこは、本当に夢のような世界だった。

上司は優しくて、同僚との会話は楽しかった。

そして、何より仕事は楽で給料もよかった。

しばらくすると、母があれこれ言ってくるのが、すごくうっとおうぃいと感じるようになった。

毎朝、「何時に帰るの?」って聞かれても、そんなのわからない。

休日は、食材の買い出しに連れて行けとうるさいし。

私だって毎日忙しくしてるんだから、もっと自由にしてほしい!

そう思った瞬間、しばらく現れていなかった、あの鳥が現れた。

もしかして、この鳥は私を自由にしてくれる鳥なのか?

前回同様、鳥といろいろ話して、自由な世界へ連れて行ってもらった。

「あ~、快適、快適」

そして、しばらくすると、私はまた、「あ~、自由になりたい」と思っていた。

こんなことが数回繰り返されるうちに、ふと、自由ってそもそも何だろうと、疑問に思うようになった。

すると、タイミングよく、あの鳥が現れた。

「お前の自由って、周りに振り回されてるんだな。自由の権利、放棄しちゃって、自由が欲しいなんて、全く笑える。」

鳥は今までよりも、さらに感じが悪かった。

「あれが嫌だ、これが辛い。あいつが悪い、会社が悪い。この感情って、お前が不自由に感じてるだけだろ。

そもそも、自分の自由を周りに任せてちゃ、一生自由になんてなれないだろ。だって、自由がわかってないんだから。」

じゃ、いったいどうしたいいのって考えていると、鳥がこんなことを言った。

「他の人がどう感じてるのか、体験してみればいいじゃん。」

そう言ったかと思うと、鳥は大きく羽ばたき、私の頭の中に風を吹かせた。

気が付くと、私は見慣れた職場にいた。

Aさんが、課長から文句を言われてる。

いつものことだ。

すると、私のものじゃない考えが、頭の中をめぐり始めた。

<課長も板挟みで苦しいんだろう。ひとこと文句を言ったら落ち着くんだし、聞いておこう。今夜は家族との楽しい外食が待ってるし。>

え、これって、Aさんの頭の中?

私が混乱していると、課長はBさんを呼びつけ、また何か言ってるようだった。

<今回は、私も確認ミスがあったな。次からは気を付けよう。こんな風に言わなくてもいいなとは思うけど、これが課長だよね。>

そして、次々に課長の前の人の考えが、頭の中にやってきた。

<文句を言われるのも給料のうちって思えばいっか。実際、このシフトで働けるのはありがたいし、ここでの仕事は、夢のための資金源だから。>

そして、最後に私自身の考え方がやってきた。

<このくそおやじ。あ~自由になりたい。>

いろんな人の考え方が、頭の中で順番に流れ始める。

そして、私は、同じように課長に起こられても、考え方はこんなにも違うのかと愕然とした。

もしかしたら・・・私の考え方が、私を不自由にしてた原因だったの?

そう思い始めていると、またあの鳥がやってきた。

「どう?同じ状況が起こっても、考え方は人それぞれ。自由さは、本人がどう思うのかによって決まるんだ。そして、自由が欲しい、自由がないって、言い続けていると、そういう状況が、喜んで行列でやってくるんだ。」

不自由さの行列?

考え方だけで、そんなに違うなんて、まだ納得できない。

すると、鳥は続けてこう言った。

「ボクの仕事はここまで。伝えることは伝えたし、体験もさせた。あとはキミがどうしたいのかだけ。不自由だと言いながら人生終わっても、ボクには関係ないから、ご自由に!どの選択をするのかは、キミの自由さ。」

鳥の残した、自由ちう言葉が耳に残っていた。

どんなふうに感じるのか、どんな状況を選んでいるのかは、私の自由。

だとしたら、不自由だって感じていることも、私の自由・・・

何だか、堂々巡りのようだけど、その日から、いろいろな選択は、私の自由なんだと思えることが増えた。

そもそも、今の会社に不満を感じ、自由がないと言ってたけど、それを変える行動すら起こさなかった。

誰かに止められていたわけじゃないのに。

そういえば、誰かが言ってたな「夢のための資金源」って。

私の夢って何だっただろう?

どうせできないって、諦めてしまっていたことがあったんじゃないだろうか。

それから私は、少しずつ、いろんな選択は自由にできることや、そもそも、今、たくさんの自由が与えられているということに気づき始めた。

まだまだ、元の考え方に戻ることはあるけど、「また、自由を放棄してる。」って気づけるようになっただけでも、大きな成長かもしれない。

少なくとも「自由になりたい!」って叫んでた私はもういない。

会社の帰り道、夕暮れの空を見上げて、緑の多い公園の中を歩いてみる。

朝のジョギングコースになっているだけあって、なかなかの距離だ。

のどが渇いたから、ひと休み。

自動販売機でコーヒーを買い、同僚からのお土産のお菓子を頬張る。

そういえば昨日は、ここを通らず、帰り道を急いだ。

学生時代の友達との、久しぶりのお食事会は、私がずっと行きたかったイタリアンだった。

お気に入りのワンピースを着て、電車に乗り込んだ。

あっという間に、学生時代にタイムスリップし、目を輝かせながら、大きな夢を語る私がいた。

「自由って素晴らしい!!」