完璧じゃないからこそ、誰かの光になれる~占い師・カウンセラーが愛されながら豊かになるには?
みぶきえみです。
コンサルの中で、占い師に向いてますかって聞かれることがある。
誰にでも、可能性があると思っている。
けど、せっかく想いを持って、誰かを支える、占い師やカウンセラーになっても、つぶれちゃう人が多い。
だからちょっと、物語形式で書いてみた。
あなたの繊細さや優しさを、沢山の人に届けてほしいから。
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ある街に、ふたりの占い師がいた。
ひとりは、よく当たると評判だった。
言葉は的確で、未来を言い切る力があった。
来た人は安心し、迷いなく帰っていく。
その占い師自身も、うまくいっていた。
予約は埋まり、評価も高い。
「すごいですね」と言われるたびに、ちゃんと応えようと思った。
外から見れば、何も問題はなかった。
ただ、なぜか、ひとりの時間になると、不安が消えなかった。
外したらどうしよう。
もっと正確に言わなきゃ。
期待を裏切れない。
そんな思いが、いつも頭のどこかにあった。
だから、スキルを磨くための、勉強を欠かさなかった。
うまく飲み込めない感情も、少しずつ増えていった。
せっかく時間をかけて伝えたことを、結局やらないままの人。
「また同じことで悩んでるんです」と、何度も同じ相談を繰り返す人。
最初は、その人のペースがあると思っていた。
でも、余裕がなくなってくると、心のどこかで引っかかるようになった。
どうしてやらないんだろう。
どうして変わらないんだろう。
ちゃんと伝えているはずなのに。
そんな小さな苛立ちを、いけないことだと押し込めながら、それでも表では、何もなかったように、正しい言葉を並べていた。
当たっているはずなのに、どこかでずっと、力が抜けなかった。
もうひとりは、少し変わっていた。
占いはするけれど、すぐに答えを出さない。
ときどき、少し一緒に、考えてもいいですかと言った。
予約は埋まりすぎず、途切れもしない。
「なんだか落ち着きます」と、言われることが多かった。
外から見れば、派手さはなかった。
けど、ひとりになる時間でも、不安はあまり残らず、自分の時間を楽しんだ。
当てることは必要じゃない。
わからないままでもいい。
一緒に考えればいい。
そんな感覚が、どこかにあった。
だからなのか、人の中にある揺れも、そのまま見ていられた。
せっかく伝えたことを、その場では何も変えられない人。
また同じことで悩んでるんですと、何度も同じ話をする人。
最初から、そういう時間もあると思っていた。
どうしてやらないのかではなく、どうして今は動けないのかを、少しだけ想像していた。
変わらないのではなく、変われない理由があるのかもしれないと。
言葉を足すよりも、そのまま置いておくことを、選ぶこともあった。
それでも、その場では、何かを整えようとはしなかった。
大きく当てることはなくても、なぜか、また来る人がいた。
ある日、こんな思いを持った人が、ひとりめの占い師を訪ねた。
「こんな自分が嫌なんです。ちゃんとできないし、すぐ弱くなるし…」
「それはこういう星の配置だからです。こうすれば改善できます。」
無駄のない、正しい答えだった。
相談者は深くうなずき、メモを取った。
けれど、そのやりとりを終えたあと、なぜか自分の中に、わずかな引っかかりが残った。
その後、もうひとりの、占い師のことを耳にした。
気づけば、その人のもとへ向かっていた。
小さな部屋だった。派手さはなくて、落ち着いた。
座ると、「今日は、どんな時間にしていきましょうか」と聞かれた。
その声に触れた瞬間、用意していた言葉が、少し崩れた。
「…ちゃんとやってるはずなんですけど」そこから先が、うまく続かなかった。
言葉にならない違和感や、見せたくなかった焦りや苛立ちが、途切れ途切れにこぼれていく。
占い師は、すぐには、答えを出さなかった。
「…続きのお話聞いてもいいですか?」そう言って、ただ話を聞いた。
うまく言葉にならない部分も、途中で矛盾してしまうところも、ときどき苦笑いが混じるところも、全部、そのまま受け取っていた。
ひととおり話し終えたあとで、占い師は小さく笑った。
「それ全部、あっていいんですよ。そのままで。」
その一言で、張り詰めていたものが、ふっとゆるんだ。
占いの結果は意外と普通だった。
特別に強い運勢でもなければ、劇的に変わる未来も予言しない。
ただ、「こういう流れがあるから、○○ごろに、楽しい予定を入れるといいですね」と添えられた。
帰り道、ふと立ち止まる。
どちらの占いも、間違ってはいなかったと思うし、どちらも、きっと正しかった。
でもなぜか、後から思い出したのは、「それ全部、あっていいんですよ。そのままで。」という一言だった。
しばらくして、ひとりめの占い師は、とうとう限界を超えた。
ある朝、起きあがれなくなり、どうしていいのかもわからなかった。
そんな時、もうひとりの占い師のことを、思い出していた。
派手さもなく、強くもなく、どこか頼りない人だと思っていた。
けど、なぜか気になって仕方なかった。
勇気を出して扉を開ける。
初めてのその空間では、自分をさらけ出すことができた。
ある日、ふと思い出す。
あの小さな部屋と「ちゃんとやろうとしてきたんですね」という声。
そのとき、はじめて気づいた。
完璧じゃないままでも、人と関われるやり方があることを、あの人は、言葉より先に教えてくれた。
自分はこれまで、人の影の部分を整えるものとして、扱っていた。
矛盾や弱さは、変えるべきものだと思っていた。
でも本当は、自分自身の影を、いちばん認めていなかった。
だから、怖かったんだ。
外すことも、揺れることも、同じところで立ち止まることも、ちゃんとできない自分が見えることを、許していなかった。
それから少しずつ、占いのやり方が変わった。
すぐに答えを出さない日も増えた。
言い切らずに、余白を残すこともあった。
同じ相談を繰り返す人にも、前ほど苛立たなくなった。
変わらないのではなく、変われない理由があるのかもしれないと、思えるようになった。
整えようとするより、そのままを置いておく時間。
それが必要な人がいることを、やっと実感できた。
そして、その方が結果的に、その人の人生が変化していくことを知った。
かつて、当てることで支えていた自分。
少しだけ、やり方を変えた。
すべてを見通そうとはしない。
ただ、目の前の人と、同じ場所に立つことを選ぶようになった。
人の影を、無理に明るくしようとしない。
誰かの人生を背負い、変えるんだという気負いもなくなった。
ただ、その人が、自分の人生を歩めるように、そばに寄り添うこと。
そのままでも、少し深い呼吸ができるように。
そういう関わり方があることを、もう知っている。




